超グソクムシ煎餅パッケージ

愛知県蒲郡市にある竹島水族館。日本で1,2を争う小さな水族館。東海地方ではちょっと有名な水族館。なんせつぶれそうな水族館に人が押し寄せて来場者数がミラクルV字回復。一躍有名スポットになっている。そんな水族館のお土産用パッケージをお手伝いさせていただきました。

竹島水族館 名物館長との出会い

きっかけは蒲郡市に本店がある蒲郡信用金庫の勉強会。その支店ひとつ、鷹丘支店の取引先若手経営者勉強会に竹島水族館の館長を講師に招いてV字回復の理由を聞いてみよう、という企画だった。
超グソクムシ煎餅パッケージ「最近、竹島水族館が熱いね~」
「えっ?あの水族館まだあるの?」
「最近すごい人気だよ」
「あの建物って結構な古さだよね?」
「あのまんまでしょ?」
「えっ、耐震大丈夫なの?」
「あそこ今人気ですごいらしいよ。うちのかみさんと子供毎週のように行ってるよ、年パス持ってるし」
「毎週行く魅力何かねえ?」
「手書きの説明書が面白いらしい。入館料安いし、その上年パスも3回行けば元が取れる」

※入館料大人500円 年パス=年間パスポート1500円 (2016年現在)

「公営だからね」 ※蒲郡市の施設です
「名古屋港水族館と比べちゃダメだよ・・・、値段も内容も・・・」 ※名古屋港水族館=名古屋市にある巨大な水族館 入館料大人2500円
「つぶれかかった水族館をV字で再建した館長の話聞きたくない?」
「聞きたいね」
「館長、若いんだって、35歳」
「へ~、公営だから市役所から定年後の偉い人が天下ってんじゃないの?」←あくまで個人の意見です
「館長のスケジュール問合せしますので来月か再来月の勉強会でお話聞きに行きましょう」

こんな感じで勉強会で館長さんのV字回復のお話を聞かせていただくことになりました。その後、なんと勉強会に館長さんがわざわざ来てくれるということになり勉強会当日を迎えました。
勉強会当日、道路事情で館長さん若干の遅延。参加者でわいわいと世間話をしていると館長さん到着。
「すみません、遅くなりました~」
と、声のほうを向くとジーパンにTシャツ、茶髪の兄ちゃんがいます。
まさか・・・・
「あの人館長?」「いや、違うだろ、お付の人じゃねえか?」・・・・
「それでは館長様もお見えになりましたので勉強会を始めます」
(?あの茶髪の兄ちゃんが館長?)←これはあくまで個人の感想です

子供の頃から水族館で働きたかったこと
大学も水族館で働くことを目標に履修
運よく地元の水族館に就職できたこと
やるきの無い先輩飼育員とトラブル、確執が生まれたこと
低迷する来場者数、赤字の垂れ流し 閉鎖案まで出て水族館存亡の危機になったこと
予算の無いなかでいかにお客さんに喜んでもらうかを若いスタッフ中心で考えたこと
スタッフから押されて自分が館長になったこと
など、なかなかリアルなお話。

質問もOKでけっこう生々しいお話も聞けました。
勉強会の終盤、参加者の株式会社童庵の安藤社長から提案がありました。
「水族館のお土産作りませんか?」
それに対して館長から
「ちょうどオリジナルのお土産を作りたいと考えていたところです。でもどこへ頼んだらいいのか、何がいいのか悩んでいたところです」
安藤社長は和菓子の製造販売会社、勉強会参加者の中にはグラフィックデザイン会社((株)三愛企画)、パッケージ製造会社(弊社)もいる。
「みんなでコラボしましょうか?」

サンプル作成
程なくして安藤社長から連絡があり箱のサイズがほぼ決まりサンプルと見積もり依頼がありました。
ところが、和菓子のお土産ではなく煎餅系のお土産になったとのこと。
理由は販売見込みが全く読めないので、在庫を考えできる限り消費期限の長い商品が良いとのこと。

超グソクムシ煎餅パッケージ

依頼の通りならばこの箱。しかし、これでは破天荒な竹島水族館らしさにかける。
そこでオオグソクムシに見える形のパッケージを提案した。
オオグソクムシは目に特徴があるのでサングラスっぽくマジックペンで描いた写真を送ってみた。

超グソクムシ煎餅パッケージ
超グソクムシ煎餅パッケージ

すると小林館長の心に響いたようで、これを実写版で・・・というリクエスト。
?実写版? ちょっと気持ち悪くないかなぁ と率直な感想を持ってしまった。
小林館長から写真が送られてきた。

超グソクムシ煎餅パッケージ
超グソクムシ煎餅パッケージ
超グソクムシ煎餅パッケージ
超グソクムシ煎餅パッケージ

やっぱりグロテスク・・・・
試作に取りかかり、三愛企画のデザイン部酒井さんと打ち合わせます。

超グソクムシ煎餅パッケージ
超グソクムシ煎餅パッケージ

超グソクムシ煎餅パッケージイラストの方がマイルドだよね~ぇ?
実写はちょっとグロいなぁ・・・
と、製作サイドの意見はこんな感じで小林館長に見てもらいます。
「やっぱりこっちですよね~」と、小林館長が手にしているのは実写版。
「それグロテスクじゃないですか?けっこう女性はダメかもしれませんよ」
「そうですかね~、ここに来るお客さんはやっぱこっちですよ。写真、もっとリアルに出来ますか?」

館長の中では実写版以外の選択肢が無いようです・・・
実際に私を含めパッケージ製作サイドは誰一人本物のオオグソクムシを見たことが無いということが判明。
実物と初めて対面することになりました。
すると、ネットの写真しか見ていなかったオオグソクムシは想像と違いました。けっこうかわいらしい。

パッケージのイメージももうちょっと変えたほうがリアルになってかわいらしくなりそう・・・
と、かってな妄想を抱きパッケージ再設計。

超グソクムシ煎餅パッケージ
超グソクムシ煎餅パッケージ

これにグラフィックデザインを合わせながら徐々に改良します。
よりリアルに・・・・館長のリクエストですが、
第一にあくまでパッケージなので中に商品が入らないといけません。
リアルなペーパークラフトではなく、実物をデフォルメし印象がオオグソクムシを連想するような形に仕上げなければなりません。

ミーティングの途中でテレビ局の取材が入ったりとめったにない経験をさせていただきました。

サイズ、デザインも決まっていよいよ量産。

超グソクムシ煎餅パッケージ
超グソクムシ煎餅パッケージ
超グソクムシ煎餅パッケージ
超グソクムシ煎餅パッケージ
超グソクムシ煎餅パッケージ

発売は4月ゴールデンウィーク前週の土曜日から。発売時に店頭に並ぶ製品数が少なめ。
行動が大胆な小林館長の割りには遠慮気味な数字。
これは過去のお土産販売実績から割り出した来場者数の購買割合が元になっています。
その試算によると・・・・年間1000個がやっとの数字。

「館長、もうちょっと売れるんじゃないですかぁ?」
と言っている我々は根拠がない。
ところが、実際に発売されると新聞やテレビニュースで放映されたこともあって3日でGW期間中までの在庫が無くなってしまった。
急遽増産するも結局GW前半で売り切れになってしまいました。
なかなか予想するのって難しいのですね・・・・

超グソクムシ煎餅パッケージ
超グソクムシ煎餅パッケージ
超グソクムシ煎餅パッケージ

お客さんの買い方がいわゆる「大人買い」らしく、複数個お土産で買っていかれるそうです。
「最高にたくさん買った人はいくつですか?」と小林館長に尋ねたところ、
「関東からわざわざ買いに来た15個じゃないかな~、しかも閉館後」だそうで、
関東地方の朝の情報番組で紹介され、それを観た方が水族館目指してやってきたものの途中高速道路で渋滞が発生。
閉館時間に間に合わず、途中から電話が入りその方の到着を待ったそうです。
当然閉館後なので水族館を見学することはかなわず、しかしながらそのお客さんは満足そうに関東に向けて帰路についたとか。
そんなエピソードを聞くと私までうれしくなってしまいます。

その後、好調な売れ行きに仕様を変更。
これに小林館長はコストアップになるもののお客様に還元で売価そのままにするという英断。
UVアクアエンボスを使い、手触りまでリアルさを追求しました。

勉強会から生まれたコラボレーションで面白いお土産が出来ました。
今回も素敵なご縁に感謝です。

お客様紹介

超グソクムシ煎餅パッケージ

竹島水族館

愛知県蒲郡市竹島町1-6
Tel:0533-68-2059
Fax:0533-68-3720
1956年開園、1959年伊勢湾台風により半壊、1962年移転オープン。

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